『〈ネ申〉の民主主義―ネット世界の「集合痴」について』 ( 明月堂書店) 仲正 昌樹 著

  • 2013.09.08 Sunday
  • 11:47

『〈ネ申〉の民主主義―ネット世界の「集合痴」について』

  (明月堂書店)

  仲正 昌樹 著 

   ⭐⭐

   これが教養主義?

 

 

僕はネット万能論にもAKBにも東浩紀にも違和感をおぼえていますし、
教養主義復権にも西洋的な公共性にも賛成なのでこの本は楽しく読めそうな気がして購入しました。
でも、不満の方が強く残りました。

仲正は東の一般意志2.0を聖書の悪霊(レギオン)になぞらえ、
個を捨て「群れ」としてふるまう集合的な存在への欲望の現れだと述べています。
その分析は的確だと思うのですが、
教養やサブカルの多方面の知識を披歴するだけで、たいして問題が掘り下げられている気がしません。
そのため、問題の考察よりも、知識のひけらかしに主眼があるように見えてしまいます。
(同じ著者のカール・シュミット講義も読みましたが、これもウンチクが多く論点が拡散している印象です)

僕がイメージする教養は知識量もさることながら、問題を掘り下げる力を持つものです。
集合意識への欲望は「大きいものに抱かれたい欲望」(もしくは母子一体型ナルシシズム)と関係しているはずです。
「勝ち馬に乗る」でも「バスに乗り遅れるな」でもいいですが、日本の昔からの病でもありますし、
資本主義がその傾向を強めるのは説明するまでもありません。
AKBを持ち上げている論客も、人気に乗りたいだけといえばそれまでです。
(それはAKB人気下降後の彼らの動向が証明するでしょう)

そこには根深い問題があると思うのですが、
仲正は社会現象に対する批判(イチャモン?)と思想分野における類似現象の羅列を続けて、
結局は何が問題なのかをわかりにくくしている印象でした。

仲正のような表層的で拡散した知識の羅列は、むしろ今の時代やネットに親和的で、
(本人は自分の本が売れていないと自虐しますが、)仲正がこれだけ多くの著書を出しているのも納得できました。

 

 

 

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