アクエリオンEVOL vol.9 [Blu-ray] (メディアファクトリー)

  • 2012.07.08 Sunday
  • 00:49

アクエリオンEVOL  vol.9 [Blu-ray]

  (メディアファクトリー)

   ⭐⭐⭐

  こんなラストでごめんなさいよーっ

 

 

草食系男子がヘタレ女子との純愛によって神話を創世する……はずが、2万4千年かけた忠犬ハチ公物語になってしまいました。途中まで面白かっただけに、より恨みに思うファンが続出していそうです。

主人公カップルがドーナツの虚空となり、周囲のサブキャラを引き立てる手法は「朝の連ドラ」ならばうまくいきますが、壮大なSF作品となるとやっぱ尻つぼみになってしまうでしょうね。
特に、主人公アマタと魂を二分しているカグラとの葛藤に関しては、描き損ねたというより、描く気がさらさらなかったという感じでした。内的葛藤なんて古くさいテーマが嫌なら、そういう設定を作らない方がいいでしょう。

大仕掛けに大団円で最終回になると思っているとしたら、作品作りをナメすぎです。

そもそも、不動とミカゲというメタキャラの存在がこの作品を異色にしていたのですが、メタキャラがラスボスになってしまうと作品構造が歪んでしまうんですよね。その結果さらなるメタな存在(スタッフ)が作品を貶めた印象を生んでしまうのではないでしょうか。
キャラ萌えは受け手をメタ位置へと飛翔させてしまうので、本作はそもそも脱神話の方向にしか行きようがなかったような気もします。その意味では前作へのアンチとなるわけですが、スタッフが狙ってそうしたのかは疑問です。

 

 

 

『<世界史>の哲学 中世篇』(講談社) 大澤 真幸著

  • 2012.07.03 Tuesday
  • 23:07

『<世界史>の哲学 中世篇』(講談社)

  大澤 真幸著

 

   ⭐⭐

  西洋とは資本主義なのか?

 

 

このシリーズは「なぜ特殊なはずのものが普遍性を持つのか」というテーマで書かれています。
そのテーマは「キリストの死」として見出され、そこから西洋思想が発展する「世界史」を描くのが大澤の目的のようです。

しかし、「特殊なものが普遍でもある」というのは、貨幣を持ち出せば終わる話に思えるんですよね。『資本論』を読めばわかるとおり、貨幣(金)は特定のひとつの商品が普遍化した姿だからです。
その意味で、大澤の立論は「キリストの死」を貨幣として把握していくものではないかと危惧します。そのような「世界史」とは、現代を最高の発展形態と捉える資本主義の逆照射の歴史になるのではないでしょうか。

僕はラカンの考え方のベースにも資本主義の構造が入り込んでいると思いますが、大澤もラカンやジジェクに負うところがあり、どうにも資本主義決定論の疑惑が消えません。そもそも、初期著作の『身体の比較社会学』では「身体の求心化―遠心化作用」を説明するとき、分裂病の症状を例として語っていたはずです。大澤はあくまで「身体」と言いたがりますが、それを鵜呑みにするべきではないでしょう。

 

 

 

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