『24/7 :眠らない社会』 (NTT出版) ジョナサン・クレーリー 著

  • 2015.04.05 Sunday
  • 06:14

『24/7 :眠らない社会』 (NTT出版)

  ジョナサン・クレーリー 著/岡田 温司 他訳

 

   ⭐

   わかりきった話では得るものがない

 

 

クレーリーの言う「24/7」とは、24時間週7日いつでもアクセス可能な世界のことです。

資本主義にとっては、営業時間外の時間は儲けが生まれないムダな時間です。
そのため、資本はすべての時間を活動時間へと近づけようとします。
人間の生命体としての限界さえなければ、
資本主義が最終的に24/7の労働もしくは消費を要求するのは必然といえるでしょう。

その意味で、「24/7」という発想には特に驚くこともありませんでした。
たいした本ではないのではないか、とも思ったのですが、
帯の「資本主義は睡眠を奪う」の文句が自分の労働環境を思い起こさせて、
何かを得られるような期待を持ってしまったのです。

資本主義に睡眠が奪われる、ではどうしたらいいか?
本書にはその答もなければ、それを求めていくヒントもありませんでした。

活動時間が24時間になると、必然的に睡眠時間がなくなります。
睡眠が新たに疎外論的文脈において取り上げられているわけですが、
クレーリーの話はそこから全く発展していきません。
夢を考察したりして、睡眠は大事だというわかりきった話で終わってしまいます。

「24/7の世界」と漠然とした輪郭を描いて、
資本主義や消費文化、インターネットとの関係を掘り下げることもなく、
それらにフルタイムへの欲望があるとか、
管理社会化しているとかいうわかりきった話ばかりでは、
こちらが退屈になってしまいます。

そのような内容はポール・ヴィリリオが「瞬間の君臨=リアルタイム」の覇権として、
何倍も深い考察をすでに行っています。

皮肉なことに、僕はこの本によって何度も睡眠を獲得しましたが、
たいして得るものもなく、少なくないお金を奪われました。

 

 

 

評価:
ジョナサン・クレーリー
エヌティティ出版
¥ 2,700
(2015-03-12)

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