『終わりなき危機~日本のメディアが伝えない、世界の科学者による福島原発事故研究報告書~』 ヘレン・カルディコット(監修)著

  • 2015.03.31 Tuesday
  • 23:12

『終わりなき危機~日本のメディアが伝えない、世界の科学者による福島原発事故研究報告書~』(ブックマン社)

 ヘレン・カルディコット(監修)著/河村 めぐみ 訳

   ⭐⭐⭐⭐

   危機に危機を感じない精神は堕落なのか

 

 

うまく言えませんが、
この本に衝撃を受けなかったことが僕には衝撃でした。

中には衝撃的な内容も含まれているはずなのですが、
たいして深刻に感じることができないのです。

この本に問題や不満があるという話ではありません。
海外の学者の科学的分析を知るのは大事だと思います。
この本の意義を理解しながらも、
衝撃を感じない自分にどうしようもなく苛立つのです。

事故当時は毎日破滅がいつ訪れるか、という緊張を感じていました。
自分の生活や大事な人の命が危うい、という緊迫したあの暗い感覚はどこにいったのか。
放射能や放射性物質が恐ろしい、という科学的知見では、
その感覚が呼び起こされることはありませんでした。

癌になる確率が上がる(特に子供と女性)こと、
福島の動物に異常が多く見られること、
チェルノブイリと似たような事態に陥るという指摘が多くありました。

しかし、チェルノブイリで起こったことを僕たちが知らない時点で、
福島でも同じことが繰り返されることがだいたい予想できます。

つまり、僕たちは知りたくないのです。
原発問題を深刻に考えるなら、チェルノブイリのことを必死に調べそうなものです。
でも、それをしない。
なぜか?
たぶん、僕たちは知りたくないのです。

たとえ知ったとしても、打つ手があるわけではない。
使用済み核燃料の問題は本当に深刻だと思いますが、
打つ手がなさすぎて、知ると不幸になる感じです。
原発をやめる手はありますが、それでもこれまでの問題は残ります。

考えてみれば、原発だけではありません。
地球温暖化にしても、深刻な危機は想像できるのに何もできません。
日本は国家の借金にしても未来のツケにして逃げています。

結局、資本主義とはそういうことなのではないでしょうか。
未来の果実を先取りしてむしり取ることを価値としている。
永遠に続く未来が想定されてこそ動き続けるシステムです。

だから、未来が続かないという事態を認めてはいけないのです。
とんでもない未来に直面しそうになっても、
僕たちは「未来はわからない」ことを頼りに知らんぷりを続けなくてはなりません。
それを堕落というべきでしょうが、僕にはそう言い切る自信がありません。

 

 

 

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