『反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体』 (新潮選書) 森本 あんり 著

  • 2015.02.27 Friday
  • 09:20

『反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体』

  (新潮選書)

  森本 あんり 著 

   ⭐⭐

   実際はリバイバリズムについての本

 

 

題名を見ても、目次を見ても、
アメリカの反知性主義を扱った本であるはずなのですが、
読み終えてみると釈然としない感じが残りました。

4章まではほとんど反知性主義について書かれていませんし、
実際は最終章までほとんど書かれていないのですが、
歴史的エピソードのあとに反知性主義について触れている部分があるので、
ぽつぽつとは語られています。
ただ、急に反知性主義がとってつけたものとして語られるので困惑します。

このまま終わるの? と不安になったところ、
エピローグになってから
肝心のアメリカの反知性主義がどういうものか、ということにページが割かれます。

本書全体のガイドとなるべきものがエピローグにあるのは不親切です。
あまりに釈然としないので、
執筆当初の予定を変更して反知性主義の本にしたのではないか、
そんな疑惑が消えませんでした。

そもそも森本あんりは国際基督教大学の教授ですし、
キリスト教が専門であることは他の著書でもわかります。

この本の大部分は信仰復興運動(リバイバリズム)について書かれています。
これこそが森本の専門であるでしょうし、
内容もそれなりに面白いものでした。

エピローグで森本はアメリカの反知性主義が、
既成の権威に反対する平等主義であると述べています。
それなら対米従属のネトウヨ的な権威主義者たちを、
「反知性主義」と呼ぶべきなのか難しいところです。

そのあたりをもっと知りたかったのですが、
本書の大部分はリバイバリズムについて書かれているので、
反知性主義についてはイマイチ理解が深まりませんでした。
ホフスタッターの著書を掘り下げるなどして、
もっと広い視野から反知性主義を描き出してほしかったです。

せめて書名を「リバイバリズムと反知性主義」にしてくれていたら、
こんなに物足りない気持ちにならなかった気がします。

 

 

 

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